トシです。
衛生仮説をご存知ですか?
免疫学の定説となりつつあるのが衛生仮説。
これは清潔で衛生的な環境の方がアレルギー疾患が増えるというもの。
アトピー患者は先進国に集中している傾向にあります。
衛生仮説からアトピーを見ると除菌された清潔な環境が病気を促進している可能性が高いです。
今回は衛生仮説の詳細や免疫に関与しているT細胞のメカニズム。最後に衛生仮説を踏まえてアトピーを解決する方法をお伝えします。
目次
【衛生仮説】先進国でアトピー患者が増加する理由は”清潔”だから!?
免疫学の世界ではアトピーをはじめアレルギーの原因は衛生仮説が有力とされています。
これは衛生的な環境。つまり清潔な環境だからアレルギーが悪化するというもの。
「どうして清潔だとアレルギーが出るの?」
と言いますと、免疫のバランスが崩れるからです。
まずは人間に備わっている免疫を司る細胞。T細胞について軽く触れていきます。
T細胞が免疫を支配している
人間の体は細胞の集合体です。細胞一つ一つに役割があります。各々の細胞が役割を全うすることで体は健康体をキープできます。
数ある細胞の中で外敵を駆除するのがT細胞。
ウイルスや細菌、カビ、ダニ、ホコリ、花粉、寄生虫など。毎日のように外側から外敵が体内に侵入してきます。
こうした外敵をいち早く感知し駆除するのがT細胞の役目。この細胞が機能しないと体内は一瞬で細菌に汚染されてしまいます。
2つのT細胞
T細胞は侵入してくる物質により主に2つの細胞に変化します。一つがTh1。もう一つがTh2です。
Th1は細菌やウイルス、カビなどを駆除します。一方でTh2は花粉やダニ、ホコリなどのアレルゲンとなる物質を駆除します。
そして面白いことにTh1とTh2は互いの活動を抑制する成分を分泌しています。
この成分が適度に分泌されることでTh1とTh2は1対1のバランスとなり免疫は正常に働きます。
ところが、どちらかの活動が弱まるとバランスは簡単に崩壊します。
アトピーはTh2が過剰状態
2つのT細胞(Th1、Th2)は役割が異なります。Th1が細菌やウイルス。Th2が花粉やダニなどのアレルゲン物質。
アトピーなどのアレルギー持ちの方はTh2が過剰状態です。
「どうしてTh2が過剰になってしまうの?」
と言うと、Th1が働く機会が極端に少ないからです。
日本は特にそうですが先進国は衛生面が非常に優れています。害となる細菌やウイルスが体内に入ってこないように除菌、抗菌された安全な環境。
このおかげで感染症にかかるリスクが減り快適に暮らすことができています。
ただ、免疫学の観点から見るとこうした衛生的な環境は大きなリスクを抱えることになります。
それはTh1が働く機会の減少です。
Th1は細菌やウイルスなどを駆除することで活性化します。その対象がいない清潔な環境では強制的に活動が弱まってしまう。
Th1とTh2は互いに抑制する物質を分泌しています。片方が減るということはもう片方の比重が増えることを意味します。
シーソーをイメージしてもらうと分かりやすいです。
本来は同じ重さのTh1とTh2ですが
Th1が極端に軽くなることでTh2へ大きく傾いてしまいます。
こうなってしまうとTh2の活動が通常以上に活性化することとなります。なぜならTh2を抑制するTh1が不足しているから。
Th2の役目は花粉やダニなどのアレルゲンを駆除すること。この活動が活発化するということは、本来は無害であるはずの成分に過剰に反応しアレルギー症状が出てしまうこと。
だから先進国ではアレルギー患者が増え続けているのです。
農家にアレルギー疾患が少ない理由
衛生仮説の根拠の一つとなっているのがミュンヘン大学の研究。
詳細はこちらに引用します。
ドイツ、オーストリア、スイスの3カ国で800人以上のアレルギーの子どもとアレルギーでない子どもの普段生活している部屋のホコリを集め、さまざまな物質を調べた。調査の結果、子どもの家が農家であるかないかにかかわらず、アレルギーでない子どものマットレスからは、ある共通成分が見つかった。それは細菌に含まれる「エンドトキシン」という成分だった。エンドトキシンがもっとも少ないマットレスでは花粉症発症率は15%、もっとも多いマットレスでは発症率はわずか2%だった。エンドトキシンが多く含まれるマットレスで寝ている子どもほど花粉症になりにくいことがわかった。
要約すると
エンドキシンという成分に触れている人ほどアレルギーになりにくい
という研究結果が出たということです。
「エンドキシンって何なの?」というと毒です。
エンドキシンは日本語で『内毒素』と言われ微量な毒素があります。LPSとも呼ばれている成分です。
具体的に言うと大腸菌やサルモネラ菌といった危険とされる菌の細胞壁となっている成分の一つです。
微量な毒性があるので高濃度で摂取すると高熱などの症状が出ることが報告されています。
「なんでそんな危険な成分に触れている人ほどアレルギーにならないの?」
と言いますと適度に毒に触れた方が免疫が活発になるからです。
Th1とTh2で言うとLPS(エンドキシン)はTh1を活性化させます。
アレルギー症状はTh2に傾いている状態なのでTh1を活性化させた方が症状を改善できると言うことです。
Th1が過剰でも病気になる
「それならLPSにたくさん触れた方がいいのね!」
と思うかもしれませんが、そうではありません。
Th2に傾くことでアトピーなどのアレルギーになるのと同様に、Th1に傾くことで違う病気にかかりやすくなります。
それが自己免疫疾患。
Th1が過剰と言うことは細菌やウイルスを退治する力が過剰に働いているということ。
そうなると無害である自分の細胞までも攻撃対象となってしまい以下のような自己免疫疾患を出やすくなります。
- 橋本病
- クローン病
- 関節リウマチ
- シェーグレン症候群
- 乾癬
など。
大切なことはバランス。
Th1とTh2がお互いに働く状態が免疫機能を安定化させます。
今日から食べるべき3つの食材
ここまでの内容を踏まえて免疫学から見るとアトピーはTh2に傾いてしまい、アレルゲンに過剰反応が起こっている状態です。
これを正すには適度にTh1を働かせる必要があります。
Th1を活性化させるには体内にLPS(エンドキシン)を入れること。
LPSは海藻類や根菜類に豊富に含まれています。
ただし、肥料など化学物質を使って育った食べ物だとLPSが少ない傾向にあります。
その点、海藻類であれば肥料の影響が少ないので海藻類からLPSを摂ることをオススメします。
具体的には
めかぶやワカメ。
これらの食材にはLPSの含有量が非常に多いことが分かっています。
毎日食べたとしても体に害を与える量には及ばないので積極的に食べると良いでしょう。
キノコもオススメ
キノコにもLPSが含まれています。それに加えてキノコにはβ-グルカンと呼ばれる成分が含まれています。
この成分は細菌と分子構造が似ていることから、摂取すると体は「細菌が入ってきたのでは?」と誤解します。
その結果、Th1を刺激することができます。
キノコは昔から免疫バランスを整えることが分かっていて歴史のある食べ物です。漢方にも使われることが多くその効果は確かなものでしょう。
Β-グルカンが多く含まれている食べ物は
- マイタケ
- シイタケ
この2つです。
マイタケは昔から「幻のきのこ」と呼ばれるほど希少価値があり、見つけた人が舞い上がって喜ぶので、まいたけ(舞茸)と名付けられたという説もあります。
近所のスーパーに行けば100円前後で購入できるはずなので、今日から試してみてください。
またβ-グルカンはサプリでも入手できます。
ちなみに専門的な話となりますがβ-グルカンは分子構造が1-3,1-6の物が効果があり、それ以外は効果がありません。
β-グルカンという言葉は抽象的なので商品を購入してもらうためにβ-グルカンという言葉を使っていることもあります。
必ず効果のある1-3,1-6のβ-グルカンを摂取するようにしましょう。
魚も重要
油とアトピーのテーマで何度もお伝えした魚
実は体内にオメガ6が多いとT細胞のTh2への変化を促進させてしまいます。
アトピー改善にはTh1に傾ける必要があるのでオメガ6を抑制するオメガ3が豊富な魚も積極的に食べたいところです。
オメガ3が豊富な魚はサバやアジ、サンマなどの青魚です。
まとめると、
- 海藻類(メカブやワカメ)
- キノコ類(マイタケやシイタケ)
- 魚類(サバやアジ、サンマ)
これらの食べ物を食べるように心がけましょう。
まとめ
衛生仮説はまだまだ検討の余地が残されいる考え方です。
とはいえ、アトピー患者が自然豊かな環境に引っ越すと改善する理由や先進国に集中している理由を考えると、衛生面が大きな違いだと感じます。
今回のお伝えした内容を内容を踏まえて、適度に毒を入れることでTh1を活性化させ免疫バランスを整えましょう。
個別相談も行っているので是非、活用してみてください。
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